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2006年7月27日 (木)

日本からとお~い“パタゴニア”

パタゴニアと言うと、アウトドアウエアのメーカー(あの高級ブランド)のことだと思う人が多いだろうけど、本当の“パタゴニア”は南米のチリとアルゼンチンに含まれているアンデス山脈の一部、いわゆる南米大陸の南端のエリアのことである。

Photo_8FitzroyPhoto_9 りお太郎は赤道上にあるエクアドルから始め、南下しながら南米を6ヶ月間放浪し、一番最後に訪れたのがパタゴニアだった。日本から見ると地球の裏側にあたり、南半球にあるため季節も逆だし、氷河に覆われていて、山々も日本の山とはまるっきり違う、ありえないくらいスゴイ山ばかりなのである。パタゴニアを代表する山はグレーシャー国立公園にあるフィッツ・ロイセロ・トーレ、そしてパイネ山塊だと思う。それらの山々には、まるで魔物が住んでいるような雰囲気があり、垂直の壁が立ち並び、ハンパない迫力がある。登攀は極めて困難、というより世界のトップ・クライマーしか太刀打ちできないレベルなのである。

2クライミングの経験はなく、ひとり旅と単独登山専門のりお太郎には、パタゴニアで登れるような山はないだろうと考え、トレッキング的な活動ばかりやることにしたのだった。フィッツロイやパイネ周辺は頂上に立たなくとも素晴らしい自然がいっぱいある場所なので、何日間もかけてまわり、それだけでも十分パタゴニアは満喫できた。しかし、やっぱりどこか山の頂上に立ちたいという欲望を抑えることはできなかった。

パタゴニアの北はレイク・ディストリクト(湖地方)と呼ばれていて、その中心にバリローチェと言うとても居心地の良い町がある。りお太郎が南米で気に入った場所のひとつで、観光客や旅人も多く、情報収集するにも最適な町だった。そして、ここでひとりでも登れる山をじっくりさがした結果、“Volcan Lanin”という山に目標を絞った。このラニン山(volcan=火山)に引かれたのは、その山の標高が3,776mというところだ。山が好きな人には馴染みがある数字のはずで、われらの日本の象徴、富士山の標高3,776m “富士山のように、3・7・7・6 皆(みな)、なろう!” と一緒なのである。同じように円錐状で形が整っているところも共通している。

Photo_126ヶ月間の長旅で疲れきってしまっていたりお太郎は、パタゴニアにたどり着くまでに邪魔になってきていたピッケルやアイゼンを日本に送ってしまっていた。ラニン山を登るためにアイゼンだけはレンタルして、現地の登山家たちから、この山についていろいろ教えたもらった。(それまでにスペイン語がけっこう分かるようになっていた。いちおう分かっているつもり?)実際に標高が6,000mを超えるアンデスの山々よりはずっと緊張感はなかったが、上部の雪は相当硬かったのでアイゼンは重宝した。途中10人くらいが泊まれる小屋もあり、1泊2日の行程で登ることができた。

Photo_10パタゴニアは天候が不安定な場所としても有名だし、風がとにかく強いとも言われていて、つねに登山者たちを困らせている。ラニン山も風はすごく強かった。一人旅は寂しいもので、単独行だから山の上でも寂しいことばかりだ。手前で頂上をあきらめようとくじけそうになったが、広大な南米大陸にひとりポツンと立っているラニン山の頂上からの景色をどうしても見たかったので、なんとか力を振り絞った。地球の反対側で見つけた富士山の兄弟のような山、その頂上からの眺めは感動的だった。

パタゴニアは日本から遠い。だから気軽には行けないけれど、絶対に一度は訪れておくべきところである。そして、できるだけ長く滞在したい。パタゴニアの魅力は別に山に登らなくても存分に味わえると思う。それは一言では語りつくせぬほど、いろんな魅力があるからで、南米の中では比較的安全なエリアだということも旅人にとって大事なポイントになる。りお太郎は、旅の最終目的地の最南端の町、“ウシュアイア”で6ヶ月にわたる放浪を終えた。南米大陸はここで終わりで、ここより南にはもう南極大陸しかない。この港町で旅を終えたことを実感し、マゼラン海峡を見ながら泣いたことは一生忘れられない思い出である。

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