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2006年7月24日 (月)

コロラド州・エルク山脈

アメリカ人には頑固なところがある。今だにアメリカでは標高や重量を単位をフィートやポンドというとめちゃめちゃ分かりにくいもので表しているが、それこそがアメリカ人らしさの象徴のように思える。愛国心が強く、アメリカが何でもNo.1なんだと言い張る人が多いので、ほぼ世界中が“メトリック・システム(cm,m,km,mg,g,kg等)”を使い、その方がよっぽど使い勝手が良いのが分かっているのに、それを素直には認めなたくはないのである。でも、りお太郎の正直者の友達は小声で、アメリカもメートルとか使えば良いのにと耳打ちしてきたことがあるが・・・

当然、りお太郎はアメリカの山々の標高はフィートで憶えている。アメリカでは地形図もガイドブックも、高度計付腕時計なんかもフィートで表されているからだ。ちなみにコロラド最高峰のエルバート山が14,440フィート(4,401m)だが、ほかにコロラドには14,000フィート以上の山が54座あり、それらは14ers(フォーティンナーズ)と呼ばれている。ある種、日本百名山みたいなもので、54全部登ることを目標にしている人も多く、わずか数フィート足らない13,000フィート台の山になると、登山者は随分少なくなっている。

さて、りお太郎は40座以上の14ersに登ったので、魅力的な山をたくさん知っているが、その中でも印象深い“エルク山脈”について紹介したい。よくカレンダーなんかの写真になっているエルク山脈はコロラドでは有名でも、日本人の登山者が来ることは稀だと思う。コロラドの他のエリアに比べて、登るのが楽ではない険しい山が密集していて、特に、マルーン・ベルスキャピトル・ピークはコロラドを代表する困難かつ美しい山だと言える。

Photo_3 Photo_4マルーン・ベルスは通称“デッドリー(死の)・ベルス”と言われるだけあって危険な山だ。それはこの山がとても脆い岩で形成されている為、登山者はつねに落石の危険にさらされるからである。マルーン・ベルスはノース・マルーンピークとサウス・マルーンピークのふたつの峰を合わせた総称で、このピーク間の稜線のトラバースがルート上の核心部だ。りお太郎が登った時は、たしか他に1組か2組しか登山者がいなかったので、落ちてくる岩にそれほど心配することもなかった。しかし、岩の稜線上は迷いやすく、ケルン(目印に岩を積み上げたもの)を見落とさないように慎重に登った。稜線上は高度感があるけれど、どこでも登れちゃうので、ついルートをはずして進みたくなり、気がつくと脆くて危険で後戻りできないような場所に行ってしまう登山者がいるのだと思う。多分事故はそのようにして起きてしまうのではないだろうか。

Photo_7Photo_5そしてキャピトル・ピークだが、巨大な北壁と“ナイフ・リッジ”と呼ばれる細い尾根が特徴的な山で、どのルートであろうが簡単には登頂できない。しかもキャピトルピークは自動車が入れる場所からは見えない山で、この山を登らなくとも、ただ見るだけでも山の中に入っていかなくてはならない。道路からは絶対に見えないところに孤高に立っているというところが、とにかくカッコ良いのだ。

Photo_6りお太郎はキャピトルを他の山の頂上から初めて見たが、そのあまりにも急峻な姿に驚き、恐れをなし、登りに行くことを躊躇したのだった。しかし、いくつか困難な山で修行したのち、りお太郎は単独でキャピタル・ピークに挑んだ。期待を裏切ら ない素晴らしい山だったのに加え、ナイフリッジを越えるルートは怖かったけれど、逆に楽しくて、頂上までずっと内容が濃い最高の登山ができ、登頂の喜びも大きかった。しかもりお太郎が登った日は、風もなく、雲ひとつ無い青空の、まさにパーフェクトな天候だったにもかかわらず、登山者は りお太郎ひとりだけだった。キャピタル・ピークを独り占めにできたことは、この上ないほど贅沢なことだった。

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