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2007年6月28日 (木)

旅をしながら、昔にタイムスリップ

この間、I-nacの海外研修の下見で、アメリカを訪れた時のことである。

ユタ州のザイオン国立公園を訪問し、ビジターセンターやキャンプ場を見てまわった後、公園の敷地のすぐ外にあるガソリンスタンドに立ち寄ったのだが、そこで、りお太郎は不思議な体験をした。

視察を終え、そのガソリンスタンドでなにげなくガソリンを入れていたら(アメリカのスタンドはほとんどセルフだ)、そこで見ていた景色が、なぜか見覚えがあることに気がついたのだ。そして次の瞬間、りお太郎の頭に、すっかり忘れていた記憶がよみがえってきたのだった。「あれ?ここは前に来たことあるような・・・」とか、つぶやいていると、まるで大きな波がうち寄せるような勢いで、いろんなことが鮮明に思い出されてきたのである。

りお太郎が最初にザイオンに来たのは15年くらい前のことだ。そのときは16、17歳で、ユタ州を代表する国立公園であるブライスキャニオンとザイオンを訪れたのだが、じつはこれが記念すべきアメリカでのひとり旅のデビュー戦だった。当時の自分としては、できうる範囲内で最大限の冒険だったわけで、特にたいへんだったこと(今思えば、無茶だった)、それは、旅の移動手段として“ヒッチハイク”というやり方をしたことにあった。

そのガソリンスタンドは15年前に、ヒッチハイクをしながら何時間も立ちつくしていた場所なのである。全く気がつかないうちにその同じ場所に戻ってきていて、知らないうちに立っていたのだ。そのことに気づいた後、夢を見ているような気分から、なかなか醒めることができなかった。そして昔の自分が目の前に現れ、話しかけられたような錯覚を受けた。

はじめてザイオンを訪れた旅では、いろいろと思い出深いことがある。ヒッチハイクでは、なかなか車が止まってくれなかったので、ガソリンスタンドで優しそうな人に直接声をかけて、乗せてもらったりした。ザイオンのキャンプ場では場所を確保できず、家族連れで泊まっていた人にお願いして、片隅にテントを張らしてもらった。ひとりでいろいろと苦労しながらも、たくさんの人に助けてもらったおかげで、良い旅ができたのである。

その当時はオレゴン州の高校に通い、住んでいたのは寮だった。規律を守らなくてはならない高校で、学校の外に行く機会も少なかったので、すべて自分の好きなようにできる旅の間は、とにかく楽しかった。オレゴンからグレイハウンドバス(前回の項参照)でユタ州のシーダーシティまで移動し、そこからはヒッチハイクで、ブライスキャニオン国立公園に行き、さらにまたヒッチハイクでザイオンまでたどり着いたのだった。

最後の最後にザイオンのハイキング・トレイルの中で、もっともハードでエキサイティングだと言われている、“エンジェル・ランディング(天使の降り立つ場所)”までのコースを歩いて、旅の総仕上げにした。渓谷の中に張り出している岩場で、数百メートルの高さの断崖絶壁上を歩かなくてはならず、かなりスリルがある。まだ登山にハマる前なので、しっかりした靴なんかも持っていなくて、スニーカーにフツーのTシャツという格好だったが、岩場の最上部まで到達でき、大きな満足感を得た。

こういった思い出をすべて忘れていたわけではなかったが、若いりお太郎が持っていた溢れんばかりのエネルギーと冒険心、無鉄砲だけど純粋なハートを、あらためて、ありありと目に浮かべることができた。ヒッチハイクしていた場所に戻らなければ、ひょっとしたら何も思い返さずに、ただ通り過ぎていたかも知れない。突然ではあったが、ずいぶん歳をとったことにも気づかされた。そして、今のりお太郎は、若かったころに持っていたものをずいぶん失ってしまっているようだし、あるいはそのころの自分と比べると劣ってしまう部分もあることを認識させられた。

ただ、それでもりお太郎は嬉しかったのである。昔のことを思い出せたことも、昔の自分をふりかえることができたのも、すごく良いことだった。これからもがんばっていこう。また、いろんな場所へ旅に出てやろうという気持ちを奮い立たされた。そして、15年前にお世話になった人、またユタの大自然に感謝する気持ちが湧いてきたのだった。ザイオン国立公園が、前と変わらず美しいままなのは、ホントにありがたく思えた。

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2007年6月15日 (金)

アメリカを旅するなら“グレハン”が面白い。

前回はバスや電車を使った移動で、ちょっと苦労した話をしたが、りお太郎はどんなに不便であっても電車やバスで旅行することは大好きである。電車では、ずいぶん小さいときから“青春18きっぷ”を使って日本各地を旅してきた。バスの旅で思い出深いのはアメリカ留学中の時のことで、りお太郎がアメリカの広さを最初に実感することできたのは、バスの旅でだった。

0090018アメリカのバスと言えば、“グレイハウンド”である。グレハン(略して)はアメリカ中を網目のように路線で結んでいる長距離バスの会社だ。主要都市間は必ずと言って良いほどグレハンが走っている。快適かどうかを抜きにすれば、大型でシルバーの車体に青と赤のストライプがあるボディはいかにもアメリカンな感じで、いろんな世界の乗り物の中でもカッコ良い方の部類に入ると思う。路線の本数も充実していて、なによりも安いので、りお太郎はオレゴン州のポートランドを基点に、シアトルやサンフランシスコ、ラスベガスなどいろんなところへ旅をした。

グレハンは庶民の乗り物である。車社会のアメリカにおいて、自家用車を持っていない人の割合は日本より少ないと思うが、グレハンのバスを足にする人は意外に多い。バスの旅の楽しみは、車窓からの景色にもあるが、グレハンでは、たまたま隣に座った人から話しかけられることがよくあり、そこで垣間見ることができるアメリカのヒューマンストーリーから、驚きや、感動をもらったりして飽きることがないのだ。

りお太郎はいろんな人と車内で話ができたし、その人たちと別れ際にシェイク・ハンドをするまで意気投合したこともあった。はるばる日本から来ていて、しかもアメリカで“勉強”しているのだと言うとけっこう感動してくれるのである。グレハンで出会う人たちはだいたい海外旅行とかと縁がないので、日本はずいぶんと遠いところだと感じるのであろう。また逆に、相手の身の上話なんかを聞くこともあったが、その人が都市を転々としながら働いている人で、離婚して離れ離れになってしまった子どもに何年かぶりに会いにいくところなのだと聞いたりして思わず涙ぐんでしまうこともあった。

アメリカ人は、基本的にオーバーアクションな人たちだと思うが、グレハンのバスターミナルで良く見られる光景が、男女の別れのシーンである。ものすごく熱いハグをかわし、十分すぎるくらいのキスをしていたりする。そして、バスが発車するときは涙、涙、涙、つられてりお太郎まで思わず涙なんてときもあった。日本人のカップルが窓越しにイチャついていたりすると、なんかわざとらしくて、いやらしいと感じてしまうのだが、アメリカ人のまっすぐ過ぎる行動に、こちらもつられて感情移入してしまうから不思議だ。これは、映画を見るよりもずっとリアルだ。

Ameri15_2グレハンに乗ると、景色を見ながら、つい前後の席の会話なんかを聞きいってしまう。そして、その話から伺えるアメリカの生活や文化を知ることで、アメリカって面白いなと思ったりするのである。そんな旅のスタイルこそが、バスの旅の醍醐味であり、グレハンの旅の魅力だったりする。

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